中学生と2人暮らし。銭湯、街歩き、ときどき読書もすき。運試しに懸賞にも勤しみ中。

【伏線の回収にあっぱれ】『六人の嘘つきな大学生』を読んで、人を見抜くなんて一生無理かもなと思った話

 

ミステリーなので犯人探しにハラハラするけど、人が殺されない所がいい。

あらすじ

舞台は急成長する大手企業の新卒採用。
最終選考に残った6人の就活生は
「6人でチームを作って1カ月後に
 グループディスカッションをする」
という課題に、全員で万全の準備をする。が、
選考当日に課題が変更され、通達されたのは
「6人の中から1人の内定者を決める」というもの。
仲間だったはずの6人はお互いライバルとして
議論を進めるが、6通の怪しい封筒が見つかり・・・

感想

最後まで気のぬけない展開のため
途中一息つきたい気持ちと
全く予測できない犯人を早く知りたい思いが
交錯・・・するうちに
あっという間に読み終わってしまった。

話の構成は、選考当日と
当時の話をインタビューする数年後を
交互に描いているが、その度に
6人のキャラクターへの印象も
二転三転、いや四転五転と噓みたいに変わった。

そんな作者の手のひらで
まんまと踊らされてしまった理由は、
自分が見たものや聞いたものだけでは
「相手の本質を知ることはできない」から。
(月を例えにした作中の表現には納得感しかない)

過去を振り返ると
苦手、または嫌いになった人達と
もっと話をしたり多角的に見ていたら
「腹も立つけど悪い人ではない」印象に
変わったかもしれない。

ただ歳を重ねるうちに知らぬ間に
「傾向」が作られ、いつしか「決めつけて」しまう。
相手に対する柔軟性や想像力は
無意識には生まれない、ということを
改めて教わったような気がする。

また、この本を読む前に
同じく就活を舞台にした朝井リョウ
「何者」を読んだ。こちらは昔経験した
「自分とは何か」という迷走や
「自分が否定された(落ちた)」トラウマが蘇り
正直苦みの残る読後感だったが
リアリティや共感はこちらの方が感じられるかも。

傲慢と善良といい、不意打ちに過去をえぐる本は
 気を確かに読み進めないと消耗する。笑)

映画化もされるらしい

11月に上映されるようなので参考までに。

6uso-movie.toho.co.jp

www.kadokawa.co.jp

 

今週のお題「好きな小説」

この夏に読んだ本

何者 (朝井リョウ
君の顔では泣けない (君嶋彼方)
爽年 (石田衣良
宇宙に花火を (松井尚斗)